No. 1931 NATO、ウクライナ戦争はNATOの拡大戦争だと認める

Nato admits that Ukraine war is a war of Nato expansion

by Jeffrey D Sachs

悲惨なベトナム戦争の間、米国政府は国民をキノコ農園のように扱ったと言われた。国民を暗いところに閉じ込め、堆肥を与えていたのだ。英雄ダニエル・エルズバーグは、真実が明らかにされれば恥をかく政治家を守るために、米国政府がついた戦争に関する容赦ない嘘を記録したペンタゴン・ペーパーズをリークした。それから半世紀後、ウクライナ戦争では嘘はもっと高く積み上げられた。

米国政府と、いつもそれに追従するニューヨーク・タイムズによれば、ウクライナ戦争は「いわれのない」ものだった。プーチンは自らをピョートル大帝と思い込み、ロシア帝国を再建するためにウクライナに侵攻したと言われている。しかし先週、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はワシントンで失言を犯し、事実を口にしてしまった。

欧州連合(EU)議会での証言でストルテンベルグ事務総長は、ウクライナにNATOを拡大しようとする米国の執拗な働きかけこそが戦争の真の原因であり、それが今日まで続いている理由であると明言した。以下はストルテンベルグが明かした言葉だ:

背景には、プーチン大統領が2021年秋に宣言し、実際にNATOにこれ以上NATOを拡大しないよう署名を求めた条約草案を送付したことだった。彼はそれを私たちに送ってきた。そしてそれがウクライナに侵攻しない前提条件だった。もちろん、我々は署名しなかった。 

逆のことが起こった。彼は我々にNATOの拡大は決してしないという約束に署名させたかった。プーチンは、1997年からNATOに参加したすべての同盟国からNATOの軍事インフラを撤廃することを望んだのだ。これはNATOの半分、すべての中欧と東欧の国を意味し、それらの同盟国からNATO軍を排除し、ある種のBクラス、または二級のメンバーシップを導入すべきだと言った。我々はそれを拒否した。 

 だから彼は、自国の国境にNATOを近づけさせないために戦争に踏み切った。しかし、プーチンは正反対のことをした。

 繰り返すが、彼(プーチン)はロシアの国境に近づかせないよう、NATOを増やさないようにするために戦争を始めた。

ジョン・ミアシャイマー教授や私などが同じことを言うと、プーチンの擁護者だとして攻撃されてきた。同じ批評家たちは、米国の主要な外交官、偉大な学者政治家ジョージ・ケナン、そして元駐ロシア米国大使ジャック・マトロックとウィリアム・バーンズを含む多くの人々がこれまで述べられてきた、ウクライナへのNATOの拡大に対する深刻な警告を、隠すか、平然と無視することを選んでいる。

2008年2月、ウィリアム・J・バーンズ駐ロシア米大使が国務省に送った、ロシアがウクライナへのNATOの関与をどのように見ているかについての機密外交公電。

現在CIA長官であるバーンズは、2008年に駐ロシア大使を務めており、「Nyet means Nyet」と題する文書の著者でもある。その文書の中でバーンズは、プーチンだけでなくロシアの政治家全体がNATOの拡大に断固反対しているとコンドリーザ・ライス国務長官に説明している。私たちがこの文書について知っているのは、それがリークされたからに他ならない。そうでなければ、私たちはそれについて知ることはなかった。

なぜロシアはNATO拡大に反対なのだろうか?それはロシアが黒海地域のウクライナとの国境2300キロに米軍が駐留することを受け入れないという単純な理由だ。米国が対弾道ミサイル(ABM)条約を一方的に破棄した後、イージス艦をポーランドとルーマニアに配備したことをロシアはよく思っていない。

ロシアはまた、米国が冷戦時代(1947年〜1989年)に少なくとも70回、それ以降もセルビア、アフガニスタン、グルジア、イラク、シリア、リビア、ベネズエラ、ウクライナなど数え切れないほどの政権転覆作戦を行ったことを歓迎していない。またロシアは、米国の多くの有力政治家が「ロシアの脱植民地化」の名の下にロシアの破壊を積極的に主張しているという事実も好ましく思っていない。それはまるでロシアが、米国からテキサス、カリフォルニア、ハワイ、征服されたインディアンの土地、その他多くの地域を排除するようなものなのだ。

ゼレンスキーのチームでさえ、NATOの拡大はロシアとの差し迫った戦争を意味することを知っていた。ゼレンスキー政権下でウクライナ大統領府顧問を務めていたオレクシー・アレストビッチは、「99.9%の確率でNATO加盟の代償はロシアとの大戦争だ」と断言していた。

アレストビッチは、たとえNATO拡大がなくてもロシアはいずれウクライナを占領しようとするだろう、と主張した。しかし歴史はそれを否定している。ロシアは何十年もの間、フィンランドとオーストリアの中立を尊重してきた。さらに、1991年のウクライナの独立から米国が支援して2014年にウクライナ政権を転覆するまで、ロシアはウクライナの領土を奪うことに関心を示さなかった。ロシアがクリミアを取り戻したのは、2014年2月に米国が反ロシア、親NATO政権を樹立したときで、クリミアにある黒海の海軍基地(1783年以来)がNATOの手に落ちることを懸念してのことだった。

その時でさえ、ロシアはウクライナに他の領土を要求しておらず、国連が支持したミンスク第2協定の履行だけを要求していた。この協定は、ロシア系民族が居住するドンバスの自治を求めたものであり、ロシアがドンバスの領有権を主張するものではなかった。しかし米国は外交の代わりに、巨大なウクライナ軍を武装させ、訓練し、組織する手助けをした。

プーチンは2021年末に最後の外交を試み、戦争を回避するための米・NATO安全保障協定案を提出した。この協定案の核心はNATOの拡大を止め、ロシア近辺にある米国のミサイルを撤去することだった。ロシアの安全保障上の懸念は妥当であり、交渉の基礎となるものだった。しかしバイデンは、傲慢さ、タカ派気質、そして重大な誤算から、交渉をきっぱりと拒否したのである。NATOは、NATOの拡大に関してロシアと交渉するつもりはない、実際NATOの拡大はロシアには関係ないことだと主張した。

米国がNATO拡大に執着し続けることは非常に無責任で偽善的である。米国は必要であれば戦争を行ってでも、西半球でロシアや中国の軍事基地に包囲されることに反対する、これが1823年のモンロー・ドクトリン以来、米国が主張してきた立場である。しかし米国は他国の正当な安全保障上の懸念には耳を貸さず、見ようともしないのだ。

そう、プーチンはNATOを阻止するために戦争に突入した。ウクライナは米国の傲慢さによって破壊され、「米国の敵になることは危険だが、味方になることは致命的だ」というヘンリー・キッシンジャーの格言が再び証明された。ウクライナ戦争は米国が、NATOのウクライナへの拡大は、永遠の戦争とウクライナの破壊を意味する、という単純な真実を認めた時に終わるだろう。ウクライナが中立なら戦争を回避できたはずであり、平和への鍵であり続ける。より深い真実は、ヨーロッパの安全保障はNATOの一方的な要求ではなく、欧州安全保障協力機構(OSCE)が求める集団安全保障にかかっているということだ。

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