<ひと物語>足から健康お手伝い 靴のコンサル業・遠山めぐ美さん

2022年8月29日 07時41分

「本当に合う革靴だとディズニーランドも平気ですよ」と話す遠山さん=いずれもさいたま市で

 靴のコンサル業という、あまり聞き慣れない職種を一人開拓中の遠山めぐ美さん(45)=さいたま市南区。二十年以上革靴メーカーに勤めた経験を生かし、二年前に独立した。仕事内容は、靴を買い求める客にアドバイスする「シューフィッター」にとどまらない。客先に出向いて家族全員の靴が足に合っているか診断する家庭訪問や、靴メーカーの在庫管理のアドバイスなど、靴のことなら何でも請け負う。
 「本当のサイズより大きい靴を履いている人、意外と多いんですよ」と遠山さん。合わない靴を履き続けると、爪の変形や腰痛など身体が異変をきたす。不調の原因が靴にあると気づいていない人は多いという。「歯磨きはきちんとしましょうと学校で教わるけれど、足の健康のために正しく靴を履こうと教わる機会がないですからね」

親子教室でアドバイスする様子

 自分の履く靴を何となく選んできた人でも、子どもが生まれて靴選びとなると戸惑う人は多く、幼児向けの親子教室は人気だ。中には、すぐにサイズが合わなくなるため大きめの靴を履かせている人や、きょうだいのお下がりですでに底が薄くなった靴を履かせている人も。「合わない靴で踏ん張りが利かず、歯並びに悪影響するという歯科医師もいるくらい。正しい履き方を知ってもらいたい」とアドバイスしている。
 もともと独立を目指していたわけではなかった。二〇二〇年の新型コロナ緊急事態宣言下、休校休園で当時小学生と幼稚園児の三兄妹と家にこもった。勤めていた靴メーカーが入る百貨店も休業に。先が見通せない中、イライラする日も多くなり「うつっぽくなった」。百貨店からの撤退をきっかけに会社を辞め、専業主婦に。夫から「フリーランスでやってみれば」と勧められた。
 「靴のフリーランスなんて」とピンと来なかったが、交流サイト(SNS)で情報発信を始めると、みるみるフォローしてくれる人は増えた。悩み相談のダイレクトメールが届くことも。送られてきた靴の装着写真を見ると「靴が笑っている(足に合わずゆがんでいる)」こともあり、自身のノウハウを役立てられると手応えを感じている。
 今月からは整体院と連携し、靴が原因で不調をきたしている人向けに、足に合った中敷きを手作りする事業も始めた。「靴が合わないだけで不健康になっている人が多すぎる。健康を意識した靴選びが浸透するお手伝いをしたい」(浅野有紀)

<とおやま・めぐみ> 1976年生まれ。20歳からリーガルコーポレーションに勤務。インスタグラム「埼玉 靴相談 巡meguri」と、ブログ「靴のあんな事やこんな事のお話。」で発信中。戸田市のネイルサロンを間借りして靴の悩み相談を受け付けるほか、不定期で親子教室を開催する。ダイレクトメールでの相談は無料。


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