川路聖謨と言えば、幕末、諸外国との交渉で大いに腕を振るった外交官のイメージがあります。先行作としても、佐藤雅美の「官僚 川路聖謨の生涯」がありますが、本書は、この人物が外交の表舞台に立つ前の、奈良赴任時の約五年間を描いたものです。
奈良奉行拝命はどうやら左遷のようですが、主人公は腐らずしっかりと奉行職をつとめます。赴任前から地元の茶屋で情報を集め、与力や同心たちの性格や能力の把握に腐心し、民心を見極めようと変装して奈良の町に出る。精力的な官僚として描かれていて好感が持てます。
奈良までついてきた家族もそれぞれに好人物。陽気な酒好きだが、頼まれれば探索も手伝う養父母、おっとりしていても家政はしっかり切り盛りする妻、京の町で酔漢から芸者を助け、今後の展開が楽しみな次男。主人公と手紙でやり取りする江戸在の心配性の母親も文面からいい味出しています。
友人である渡辺崋山や江川太郎左衛門まで登場し、史実の「蛮社の獄」を予感させますが、いつまでも牢屋から出たがらない妙な囚人の登場から、物語は一気に捕り物帳の世界へ…。
題名は、貧窮に苦しむ当時の奈良の民を慰撫するため、主人公が町中に桜や楓を植えた史実から来ています。本書でその史実に当たる場面がないのは残念ですが、外交の舞台で華やかに活躍した人物に、左遷先でのこんな目立たない善行があったことはなんだかうれしくなりますね。
それを見出した作者のいぶし銀の芸が光る、良質な時代小説です。
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桜奉行 幕末奈良を再生した男 川路聖謨 単行本 – 2016/11/26
出久根 達郎
(著)
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大国ロシア相手に和親条約締結を成し遂げた幕末敏腕外交官・川路聖謨
その知られざる奈良奉行時代を直木賞作家が描く
明治元年三月十五日──江戸城総攻撃の日 前日の勝・西郷会談での攻撃回避決定を知らなかった川路聖謨(としあきら)は切腹の上ピストル自殺した──その時彼の目に映ったものは 奉行として初めて目にした古都奈良の桜ではなかったか
世相がすさみ町も寺もあれていた奈良を立て直した人間味豊かな川路。なかでも特筆すべきは庶民も巻き込んだ桜楓の植樹活動である
その時植えられた桜は 百六十年たった今も 奉行所の裏を流れる佐保川の堤で美しい花を咲かせている
その知られざる奈良奉行時代を直木賞作家が描く
明治元年三月十五日──江戸城総攻撃の日 前日の勝・西郷会談での攻撃回避決定を知らなかった川路聖謨(としあきら)は切腹の上ピストル自殺した──その時彼の目に映ったものは 奉行として初めて目にした古都奈良の桜ではなかったか
世相がすさみ町も寺もあれていた奈良を立て直した人間味豊かな川路。なかでも特筆すべきは庶民も巻き込んだ桜楓の植樹活動である
その時植えられた桜は 百六十年たった今も 奉行所の裏を流れる佐保川の堤で美しい花を咲かせている
- 本の長さ344ページ
- 言語日本語
- 出版社養徳社
- 発売日2016/11/26
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104842601205
- ISBN-13978-4842601205
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商品の説明
著者について
出久根 達郎(でくね・たつろう)
1944年、茨城県生まれ。作家。古書店主。
中学卒業後、上京し古書店に勤め、73年より古書店「芳雅堂」(現在は閉店)を営むかたわら執筆活動を行う。
92年『本のお口よしごしですが』で講談社エッセイ賞、翌年『佃島ふたり書房』で直木賞、2015年『短編集 半分コ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
著書は他に、『古本綺譚』『作家の値段』『七つの顔の漱石』『おんな飛脚人』『謎の女 幽蘭』『人生案内』『本があって猫がいる』など多数。
1944年、茨城県生まれ。作家。古書店主。
中学卒業後、上京し古書店に勤め、73年より古書店「芳雅堂」(現在は閉店)を営むかたわら執筆活動を行う。
92年『本のお口よしごしですが』で講談社エッセイ賞、翌年『佃島ふたり書房』で直木賞、2015年『短編集 半分コ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
著書は他に、『古本綺譚』『作家の値段』『七つの顔の漱石』『おんな飛脚人』『謎の女 幽蘭』『人生案内』『本があって猫がいる』など多数。
登録情報
- 出版社 : 養徳社 (2016/11/26)
- 発売日 : 2016/11/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 344ページ
- ISBN-10 : 4842601205
- ISBN-13 : 978-4842601205
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 310,455位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,530位歴史・時代小説 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年8月6日に日本でレビュー済み
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川路聖護奈良奉行は、奈良のまちに奈良八重桜をたくさん植えた奉行として知られている。『桜奉行』というタイトルのこの本は、そういう川路の仕事を伝える本だと奈良市民である私は思い、期待して読んだ。ところが実際は、犯罪人の捜索活動や昔の佐渡奉行の頃の仕事の話で埋め尽くされて、桜の話は全く出て来ない。期待外れの内容で私はガッカリした。なぜこんな構成になったのだろうか?
2017年1月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
抑制の効いた語り口で良質な小説だと思います。
ただ「幕末奈良を再生した男」と標題にありますが桜の植樹を含めて、そこには触れられていません。
奈良というと古代史。あまり触れる機会のない江戸時代の奈良や川路聖謨の事跡を知りたいと手にとりましたが
知識欲的な部分は満たされませんでした。なんでこんなタイトルにしたのか疑問です。
そのため☆一つ減らしました。
ただ「幕末奈良を再生した男」と標題にありますが桜の植樹を含めて、そこには触れられていません。
奈良というと古代史。あまり触れる機会のない江戸時代の奈良や川路聖謨の事跡を知りたいと手にとりましたが
知識欲的な部分は満たされませんでした。なんでこんなタイトルにしたのか疑問です。
そのため☆一つ減らしました。
2017年5月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この小説を書くについて大変膨大な資料を調査して執筆されている様子が伺える。
№2 №3 の発刊を待っている。
№2 №3 の発刊を待っている。