岸田内閣の改造人事、副大臣・政務官は女性ゼロ 前回11人から一転

有料記事岸田政権

山崎毅朗
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 岸田内閣は15日の閣議で、副大臣26人と政務官28人の人事を決めた。計54人は全て男性議員で女性議員はゼロとなった。朝日新聞の調べでは、2001年に副大臣・政務官が導入されてから「女性ゼロ」は初めて。岸田文雄首相は内閣改造で過去最多に並ぶ5人の女性閣僚を起用したが、対照的な対応となった。

 首相は同日夜、首相官邸で記者団に副大臣と政務官に女性議員が一人も起用されなかったことについて、「閣僚、副大臣、政務官、首相補佐官については適材適所で、老壮青、男女のバランスとなった。チームとして人選を行った」と述べた。首相補佐官5人では女性2人を起用した。

 松野博一官房長官は同日の記者会見で「閣僚、副大臣、政務官、総理補佐官など全体で多様性に配慮している」と説明。「政府に入らずとも国会や党内政策の立案、議論、国会運営などで幅広く活躍できる」などと述べた。

 副大臣・政務官は政治主導を進めるなどの目的から01年に導入。副大臣は大臣不在時に職務を代行し、政務官は特定の政策分野について大臣を補佐する役割を担う。大臣に代わって国会で答弁する機会もある。

 人事は政府が自民党の各派閥からの推薦をふまえて決定し、副大臣は衆院では当選4、5回、政務官は当選2、3回の議員が人材育成の観点から登用されるケースが目立つ。昨年8月の内閣改造では、女性議員計11人が起用されていた。

 今回の「女性ゼロ」について、首相官邸の幹部は「副大臣・政務官の未経験者を中心に選んだ」と、結果的に男性議員のみになったと説明。政府高官は「そもそも自民党には女性議員の数が少ない」とした。自民の派閥幹部によると、派閥から政府に推薦したが起用されなかった女性議員もいたという。

 岸田首相は今回の内閣改造で、副大臣を経験していない加藤鮎子・元国交政務官を少子化担当相に起用するなど計5人の女性議員を閣僚に起用。刷新感を出すことで政権浮揚を狙った。13日の記者会見では「女性としての、女性ならではの感性や、あるいは共感力、こういったものも十分発揮していただきながら、仕事をしていただくことを期待したい」と発言した。

■副大臣・政務官名簿(山崎毅…

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    南野森
    (憲法学者・九州大学法学部教授)
    2023年9月15日15時4分 投稿
    【視点】

    いくらなんでも、のひと言です。副大臣26人、政務官28人の計54人中、女性がゼロ、全部男性というのは、あり得ない人事ではないでしょうか。   日本のジェンダーギャップ指数は世界125位、今年は過去最低となりました。政治の分野に限れば世界

    …続きを読む
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    藤田結子
    (社会学者)
    2023年9月15日20時38分 投稿
    【視点】

    驚きました。海外の先進国からみると、異様な国にみえると思います。このような女性ゼロの人事と、少子化、ジェンダーギャップ指数先進国最下位も根っこで全部つながっているのではないでしょうか。 今野忍記者のコメントがわかりやすく、「そもそも女

    …続きを読む