明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1653)玄海2号機廃炉が決定!これで24基が廃炉決定済みないし検討中

2019年02月18日 21時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190218 21:00)

玄海2号機廃炉決定。理由はもはや経済的に展望がないから

九州電力が2月13日に玄海原発2号機(佐賀県玄海町)を廃炉にすると発表しました。これを報じた日経新聞の記事をご紹介しておきます。


写真は共同通信 20190217

原発、高まる経営リスク 九電が玄海2号機廃炉を決定 
日経新聞 2019/2/14 2:01
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41240940T10C19A2TJ1000/

記事では廃炉決定の要因を三つにまとめています。
一つは安全対策費があまりに大きくなってしまったことです。
二つはコスト競争力が悪くなってしまってきていることです。再稼働して目先の利益をあげても長期的な展望が揺らいでいると指摘しています。
三つは震災やその時の政府が原発を止めると言い出す可能性があるなど、リスクが大きくて投資を呼び込みにくいことです。以下、要点を引用します。

「九電には運転を延長して再稼働を目指す選択肢もあった。だが、福島原発事故以降の安全対策費は累計9000億円を超える。この費用がかさむほか、「(テロ対策施設建設の)スペースの問題がある」(池辺社長)ため断念した。」
「足元では原発再稼働は電力各社の収益にプラスだが、長期的にみると原発のコスト競争力自体も揺らいでいる。米投資銀行ラザードは世界の新設案件を比較し、18年時点で原発のコストは石炭火力の約1.5倍と分析。
欧州で普及が進む太陽光や陸上風力発電と比べると約3.5倍の高さになる。」
「原発を抱えると投資が呼び込みにくくなる面もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荻野零児シニアアナリストは「原発は動いたり止まったりすると、利益への影響が大きい」と指摘。
再稼働すれば増益期待から株価は上がるが、「震災や、(そのときの政権が)原発はやらないと言い出すリスクもある」。海外の投資家にはデメリットを重視する傾向もあるという。」

現在24基が廃炉中ないし検討中!ここまで追い込んだのは民衆の力!

それで日本の原発の現状はどうなっているのでしょうか。現在廃炉が決定しているのが20基、これに廃炉検討に入っている福島第二4基を入れて24基が廃炉に向かってます。
稼働は9基。許可が出ているもの6基。審査中12基(島根3号機、大間1号機を含む)、未申請9基(東通1号機含む)です。以下に詳しく載っています。

原子力発電所の現状
経産省・エネルギー庁HPより
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_001.pdf

ただこの図だと日本で作られた商業原発の合計が60基に見えますが、まだ一度も動かされたことのない島根3号機や建設中の大間1号機・東通1号機も含まれています。
このためこれらを除いた57基が日本で稼働したことのある商業用原発です。このうち福島原発事故前に東海と浜岡1,2号機が廃炉になっていたので2011年3月時は54基でした。その後なんと21基もが廃炉ないし検討中となったのです!
残る原発は33基。この他、実験炉だったもんじゅとふげんも廃炉過程に。(ふげんは2011年以前に廃炉に)。福島1~4号機は事故で壊滅しましたが、その後、私たちはもんじゅを含む18基を廃炉に追い込んだと言えます。

これらを促進してきたのは民衆の力です。安全対策費が高くなり、再生エネルギーにおされてコスト競争力が低下し、投資リスクが多くなったのは、すべて事故で目覚めた民衆の力によるものです。

老朽化し稼働そのものがリスクを背負っている!

さらに日経の記事には書かれなかったもう一つの重要な問題があります。玄海原発2号機は長いこと止まっていたため再稼働させることにかなり大きなリスクが伴っていたことです。
というのは機械は一般的に言っても長い間動かしていないと不具合が生じやすいものです。その上原発は、鉄にとってもっともやっかいな水と塩がふんだんに使われています。水での冷却が必須で一部は海水で行っているからです。
このため2015年の時点で世界で4年以上止まっていて再稼働した14例のうちすべてでその後に不具合が生じています。

日本における再稼働ではというと、9の原子炉が福島原発事故後に2年間、全原発が止まったのちに次々と再稼働してきましたが、そのうちの5つの原子炉で9回の故障事故を発生させています。
象徴的だったのは昨年3月の玄海原発3号機の再稼働時の故障事故でした。配管を覆う保温材に雨水が浸透してパイプが腐食。穴があいて中から蒸気が漏れだしたのですが、当時の九州電力瓜生社長がこう言ったのでした。
「(3号機は)7年間停止しており、再稼働で何が起こるか分からないということが現実になってしまい、残念」・・・。




20180402 RKBニュースより

これは住民の安全を無視したあまりに無責任でひどい言葉です。しかしこれが電力会社の本音です。
電力会社が心配しているのは、事故そのものよりも小さな事故でも原発がとまり経営リスクが嵩むことです。二重三重にひどいことですが、しかしここには民衆の意識の大変化に晒された電力会社の立場がにじみ出てもいます。
これは他の電力会社にも共通することです。例えば東海第二原発も長く停まっていてもはや再稼働そのものに大きなリスクがあります。事故と経営リスクの双方があります。

だからいま稼働を許すなという声をあげることがとても大事なのです。何より長く止めていた原発は「何が起こるか分からない」から動かすのが本当に危険だからです!
同時にこうした声が高まると電力会社はどんな小さな事故すらも恐れるようになり、経営リスクを考えざるをえなくなります。そしれそれが今回のように再稼働の断念につながっていくのです。
玄海2号機に続き、さらに他の原発も廃炉に追い込んでいきましょう!

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