明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1888)一次冷却水ポンプと再循環ポンプは原発のアキレス腱・・・元東芝の小倉志郎さんはかく語ってくれました

2020年09月22日 15時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200922 15:00)

玄海原発・・・のみならず加圧水型原発・・・のみならずすべての原発の危険性のついての続報です。今回も小倉志郎さんに教わったことをお伝えします。


小倉志郎さん ハンギョレ新聞より

分かったふりをして運転を続けている。だから同じ故障事故が繰り返し起こる

前回、一次冷却水ポンプが構造的欠陥部品であり、なんで壊れるのか、実は誰も分かっていないことを元東芝の技術者、小倉志郎さんに教わったことを明らかにしてきました。
さらに理解を進めるために、今回はここでポンプ一般(渦巻きポンプ)の構造を捉えておきたいと思います。以下をご覧下さい。

ポンプのお話 三和ハイドロテック株式会社
http://www.sanwapump.co.jp/special/story/01_08.html


一般的なポンプの構造

ポンプの容器の外枠をケーシングといいます。この中に羽根車が入っていて回ります。このとき羽根車がまわる部分には液体が入っているわけで、これが羽根車の軸受け部に侵入してこないように「軸シール」が付けられます。
原発の場合、ここに一次冷却水の150気圧の力がかかってしまうので、とてもやっかいなわけです。それでここに純水を回す、液体によってシールをするという特別な方法をとっているわけですが、ここが技術的な難所なのです。
この軸受け部のシールに技術的困難は、実は沸騰水型原発も抱えているそうです。沸騰水型では「再循環ポンプ」と呼ばれています。

小倉さんは次のように続けられました。
「私がBWRの原子炉再循環ポンプをはじめ各種のポンプでのシール部漏洩を起こした場合に良く見たのは「シール面=こすれ合う面=に微細な異物が侵入した」という理由です。しかし分解してみてもそんな微細な異物が見つかったためしがないのです。
今回の伊方の場合もそうですが、本当は漏洩の原因は不明なのです。しかし、「原因不明」と公表してしまえば、「対策の妥当性」を説明できなくなります。そこで、苦し紛れの誰も確認できない理由を挙げざるを得ないのです。
シールの断面の構造をみるかぎり、原子炉格納容器の漏えいテストのために原子炉格納容器の内圧を挙げたところで、第3シールの固定リングが傾くとは考えられません。上記したように、傾きの存在を確かめられないし、Oリングの摩擦力が(不均一に)増えたことも確かめられないのですから、これは空想による「屁理屈」でしかありません。」

これはすごい指摘です。実際に現場に携わってきた方にしか知り得ないことですが、実は各種のポンプでこうしたシール部の漏えいがこれまでも起こってきており、しかも「本当の原因は不明」なのです。
実にひどいことです。故障事故の原因が分かってないのです。当たり前ですがそれでは修理できません。それで新しい部品に代えてすましているのです。しかし構造的欠陥が正されないのですから、当たり前ですが故障事故が繰り返されてきている。


ポンプをとりかえただけでの再稼働に対し市民のみなさんによる抗議行動が行われました。
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会HPより


この欠陥を沸騰水型も抱えている。原発のアキレス腱そのもの

この構造的を沸騰水型も抱えているというのもとても大事な点です。その意味で原発のアキレス腱そのものなのです。

小倉さんはこう結論付けています。
「シールの断面のポンチ絵を見れば第1シールの内側に「封水」、第3シールの内側に「パージ水」を注入しています。これらは常温の純水のはずです。
ですから、なんらかの原因で「封水」「パージ水」が止まった場合には高温高圧の原子炉水がシール内部に侵入してきて、シール部品に使っているOリングやカーボンリングを破損させて、LOCA(原子炉冷却材喪失事故)の原因にもなりかねません。
ですから、PWR(加圧水型)、BWR(沸騰水型)のどちらにおいても原子炉圧力バウンダリーでありながら、原発導入の最初から規制の「盲点」になっていたと言えるでしょう。
PWRは3段シール、BWRは2段シールと基本的な違いがありますが、原理的な弱点を持っていることは同様です。」


一次冷却水ポンプのポンチ絵 四国電力HPより

LOCA(原子炉冷却材喪失事故)にすら直結する可能性がある!まさに原子炉の核心部の構造的欠陥です。
この一点からだけでも、日本中のすべての原発を動かしてはなりません。頑張りましょう!

最後に、4年も前のことですが、丁寧にご説明くださった小倉さんに再度、感謝を申し上げます。

#伊方原発 #玄海原発 #冷却水ポンプ #再循環ポンプ #原発のアキレス腱 #小倉志郎

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