日本に住む外国人は287万人(2020年1月時点)と過去最高を記録しました。コロナ禍で今年度は減少が見込まれますが、間違いなく、グローバル化や日本の高齢化等の問題もあいまって、外国人住民は日本の社会や地域の担い手としての可能性は増してきています。
しかし、日本には、彼らを受け入れるための土壌が整備できているでしょうか? 技能実習生をめぐる状況、コロナ禍での外国人差別、気候変動による災害情報難民となりうる「言葉の壁」…。特に日本人側の「心の壁」は根深い問題ではないでしょうか?
地球市民の会は1986年から「小さな地球計画」と銘打ち、日本で学ぶ留学生を佐賀に呼び寄せ、ホームステイしてもらう事業を展開し、地域の国際化や異文化理解を進めてきました。あらためて、当時培ってきた「やっぱ人間な誰でん一緒じゃった」(87年浜玉宣言で採択)という多様性を認め合える価値観が、必要とされてきていると強く感じています。
そこで地球市民の会では、外国人を“十把一絡げ”にするのではなく、多様性を認め合い、国籍に関係なく個性を発揮して活躍できる社会づくりのため、日本人、在住外国人双方の心の壁を取っ払い、地球市民となれるようなプロジェクトを企画・実施していくため、12月の寄付月間に合わせたキャンペーンを始めます。ぜひ多くの方にご賛同いただき、誰もが輝いていける社会づくりをご支援いただけませんか?
県内で学ぶ外国人留学生たち
期間:2020年12月1日~12月31日
目標金額:150万円
★お礼の品としてオリジナルエコバックを進呈します。タイ、ミャンマー、スリランカ語入り「No border エコバッグ」です。外国人住民とのコミュニケーションツールとしてお使いください。
寄付の使途:多文化共生事業を進めるための企画・立案のために使わせていただきます。
【第1ゴール=50万円で実現できること】
◆介護人材育成を目指した留学事業「志学生プロジェクト」のタイ人学生支援(必要経費約40万円)
地球市民の会では、タイの少子高齢化に対応し、タイ国内の貧困の連鎖を解消するために、タイ農村部の学生を佐賀に招き、日本語と介護を学ぶ「志学生プロジェクト」を実施しています。事業は今年で2年目を迎えましたが、そこに襲ったのがコロナ禍。タイではロックダウンが長引き、経済も大きな打撃を受けました。また、彼女たちが入国するためには、隔離(レジデンストラック)も必要です。その日本での入国当初の滞在費など当初想定していなかった費用が発生します。彼女たちを支援するための資金を、寄付で募ります。
【第2ゴール=100万円で実現できること】
◆在住外国人を地域コミュニティで受け入れるイベント企画(必要経費約60万円)
地球市民の会は、1986年より実施した「小さな地球計画」では日本で学ぶ留学生を佐賀に招き、ホームステイしてもらう事業などを実施してきました。
現在、日本に住む外国人住民の人数が増えるに伴い、現在の日本人と外国人の「心の壁」も発生してしまっています。この心の壁を取り払うべく、ホームステイ事業や、キャンプなどを通じた交流事業などを実施します。
【第3ゴール=150万円で実現できること】
◆災害時における外国人支援体制の強化(母語別グループ設立支援、必要経費約50万円)
毎年のように起こる災害やコロナ禍など、外国人は「情報難民」になりがちです。地球市民の会では、30年以上タイ支援をしてきた経験から、佐賀に住むタイ人グループ「サワディー佐賀」の設立を支援。現在、サワディー佐賀内で災害情報のタイ語発信がされるなど、ノウハウがたまってきました。現在、ミャンマーとスリランカのグループ設立も目指しており、いただいたご寄付で、関連イベントの開催や、翻訳・通訳の謝金などに充てます。
※認定NPO法人である地球市民の会へのご寄付は、寄付控除の対象となります。詳しくはこちら。
◆応援の声や新聞掲載など
◎佐賀新聞さんに紹介いただきました!
災害時、外国人に情報提供 佐賀市の団体、クラウドファンディング開始
◎Facebookで連動企画を実施中です!
【ミャンマーで助けてもらった話】
【外国人グループをつくる意義とは?】
【一人の友人として助けてもらったこと】
【『人生を変えたい』留学生の夢をかなえる佐賀という地】
【7204人に情報を届けるには?】
【ミャンマーとスリランカのグループ設立へ~外国人の活躍を支援するためのクラウドファンディングはあす1日スタート~】
◆「75%法令違反」という衝撃
「外国人技能実習生雇用 県内75%で法令違反」。2020年11月17日、地元・佐賀新聞の「政経ワイド」面に、このような記事が載りました=佐賀新聞HP。2019年、外国人技能実習生を雇用している佐賀県内の96事業場を訪問したところ、75%の72事業場で「安全基準」「労働時間」「割増賃金の支払い」などに関する違反が見つかったという、佐賀労働局の調査結果をつづったものでした。佐賀労働局は2018年、62事業場を訪問し、約60%の37事業場で違反が見つかったと公表しており、より技能実習生を取り巻く環境の悪化が懸念されます。
2020年1月現在、佐賀県内には7,204人の外国人住民が暮らしており、ほぼ半数の3,260人が技能実習生です。そのうち75%が違反の職場環境で働いていると考えると、単純計算で約2,400人。彼らが「日本での生活は楽しい!」と言えるのでしょうか? 自分の思いを伝えられない言葉の壁、日本に行くために母国で借りたお金、故郷で自分の帰りを待つ家族…。多くの環境が、技能実習生をがんじがらめにし、声をあげられない状況となっていることが予想されます。
◆災害多発で「コロナ差別」や「情報難民」に
新型コロナウイルス感染症の最初の感染者が佐賀でも見つかった今年3月、山口祥義・佐賀県知事は県のコロナ対策本部会議で「外国人だからというのは非常にナンセンスだ」と語気を強められました。これは、2月下旬、県内に住む外国語指導助手(ALT)が、ある飲食店で「海外からのお客さまの受け入れ中止」と複数の言語で書かれた張り紙を見つけ、入店をあきらめた出来事に由来した苦言でした。
当時は、多くの航空各社が日本と海外を結ぶ空路を相次ぎ運休とし、九州を訪れた外国人は前年同月比96%減というありさま。外国人住民はその多くが、3か月以上日本に滞在する「中長期ビザ」の外国人ばかりです。コロナ禍は、日本人の外国人に対する「心の壁」を、より大きなものにしてしまいました。
また、昨年8月の佐賀豪雨、そしてコロナ禍に加え、鹿島市、太良町に災禍をもたらした令和2年九州豪雨と、日本語が得意ではない外国人が「情報難民」となってしまう事態が相次いで起きました。外国人へいかに行政情報を届けるか。これは佐賀だけでなく、全国でも課題となっています。
2019年8月の佐賀豪雨の様子(左)と、2020年7月の大雨特別警報を知らせるサワディー佐賀のLINEグループ
もちろん、外国人住民をめぐる課題はこれだけにとどまりません。その課題は、在住数がが増えるのに比例して、その顕在する課題の件数も分野も広がりを見せています。
◆人間な誰でん一緒じゃった
時代がさかのぼること約35年前。地球市民の会は、「小さな地球計画」として、日本で学ぶ留学生を佐賀に招き、ホームステイさせる事業をスタートさせました。初年度は韓国、中国、台湾、東南アジアなど、11か国36名が参加。盆踊りや海水浴、農作業など「飾らない日常」に触れてもらいました。佐賀を「第二のふるさと」と心に刻んで帰る留学生が多かったといいます。ホストファミリーを中心に7回の開催でのべ1万人以上が交流し、「『よそもん』だった外国人が『身内』になった」(橋本和喜著『地球を翔た異風者 古賀武夫伝』石風社より)といいます。
小さな地球計画で交流する外国人留学生(左)や留学生たちのスピーチ
そのほか、地球市民の会では、日本語を学ぶ韓国の大学生を招待する「かちがらす計画」や、スリランカの奨学生を佐賀に招く「カタランカ~Cross Asia~」、日中韓の大学生交流「TOMODACHI 100 プロジェクト」などの国際交流事業を実施してきました。
「(地球市民の会創設者である、故・古賀)武夫は、海の両岸から非難し合うことの馬鹿馬鹿しさ、経済的効果や政治優先で人間を忘れた交流の愚かさを声高に訴えた。人のふれあいと感動こそが始まりであり、最終にして最高の価値である。感動なくして何の人生ぞ。人間誰でん一緒さい!」(古賀武夫伝より)
こうして国際交流を通じて培ってきた活動指針として1987年の国際シンポジウムで採択された「浜玉宣言」の第1項「やっぱり人間誰(だり)でん一緒じゃった」は、いまだに地球市民の会の国際交流事業の柱となっています。「外国人」や「○○人」などと一括りに考えるのではなく、それぞれが個性を持った一人の人間。国籍に関係なく誰もが個性を発揮し、活躍できる場をつくることこそが、現代には改めて求められているのではないでしょうか。
TOMODACHI100プロジェクトで交流する日中韓の大学生たち
◆介護人材育成を通じた貧困からの脱却を
このような現状を踏まえ、地球市民の会では、3つの取り組みを既に実施しています。
一つ目が、タイの留学生を佐賀に招き、日本語と介護を身につけてもらう「志学生プロジェクト」です。経済発展の続くタイでは、若者の多くが職を求めて首都バンコクへ行き、地方の高齢化が促進。少子高齢化が進んでいます。高齢化率(人口における65歳以上が占める割合)は、日本が高齢化社会(7%)から高齢社会(14%)になったのが24年かかったのに対し、タイは20年で達成する見込みです。将来的な介護の担い手が必要とされているのは自明の理であり、今から介護人材の育成が必要となっています。また、都市部と農村部の格差も広がり、貧困の連鎖から抜け出せない若者もまだまだ多いです。
地球市民の会では、1990年から続いたタイ奨学金制度を2017年度で終了するとともに、何か別の形でタイとつながりたいと考え、その一つが「介護」でした。志学生プロジェクトでは、日本語学校と短期大学を経て日本の介護福祉士の資格を取得。その間は介護施設が「貸与型奨学金」として学費を支給し、施設でのアルバイトをしながら返済していくという仕組みになっています。技能実習生のように多額の借金を背負うことなく日本で学べ、また、その間の日本での生活のサポートは地球市民の会で実施しています。
志学生プロジェクト第1期生として学ぶYuさん(右)
◆外国人を経験したからこそ
2つ目が、佐賀県内のタイ人やタイが好きな人でつくるグループ「サワディー佐賀」の設立支援です。地球市民の会には、留学や現地駐在、青年海外協力隊など、海外で「外国人」を経験したメンバーが多くいます。現地の人にも助けられたのと同時に、同じ日本人として支え合った経験もある。だからこそ、日本で暮らす外国人住民の気持ちも分かる―。そんな思いで、タイとの30年以上に及ぶ交流の新たな形として2018年1月からスタートしました。タイのドラマや映画の誘致をきっかけに文化交流や観光客の受け入れも進んでおり、佐賀県主催のタイフェスティバルへの協力、タイ料理教室・タイ語教室の開催、ロケ巡りの聖地・祐徳稲荷神社への通訳ボランティアの派遣、東京2020大会ホストタウンおもてなし事業…。「タイ」をキーワードにした様々な事業を展開しています。
佐賀県知事からの表彰状も受けたサワディー佐賀のメンバーたち
ある年のタイフェスティバルのこと。あるタイ人女性が会場に詰め掛け、せきを切ったようにタイ語で話し始めました。「こんな団体があったなんて…」。日本人の男性と結婚し、日本人との接点すら、バイトの農家の方のみ。ましてやタイ人なんて…。今でもたまにイベントに参加してくれています。
また、2020年のタイフェスティバルの際は、留学生の一人がこんな宣言をしました。「サワディー佐賀がタイと佐賀の関係を良くしてくれるように、僕も卒業後は、佐賀とタイをつなぐような仕事がしたいです」。メンバーの一人として活躍してくれたことが、彼の自尊心を高めたようでした。タイフェスのメニュー作りからタイ料理教室・タイ語教室の講師も、すべてタイ人メンバーが中心。料理が得意な人、語学が得意な人、楽器を弾ける人…それぞれの個性を生かせるような活動をしています。
佐賀県はタイのホストタウン。2019年に事前キャンプで訪れたパラ・アーチェリーチームとも交流しました
◆行政の手の届かない4%へのアプローチを
そして三つ目が、県内で人口の少ない母語のグループ設立支援です。災害が起きた際、佐賀県の防災計画では、県と県国際交流協会で「災害時多言語支援センター」が立ち上げられます。その際、災害情報の翻訳の対象となるのは、英語やベトナム語、中国語、韓国語、ネパール語、やさしい日本語など8言語。これで、人口の89%はカバーできる計算です。
しかし、残りの言語の中には、英語も日本語も分からない外国人住民もいるかもしれません。そして、上位10か国のうち、対象になっていないのがミャンマー(175人)、タイ(82人)、スリランカ(79人)。偶然にも、地球市民の会が国際協力でかかわってきた国です。
そしてタイのグループであるサワディー佐賀では、災害情報などをやさしい日本語に変換→タイ語に変換→複数のタイ人メンバーでダブルチェックして発信するというシステムができています。これは、コミュニティがあるからこそ。そこで、地球市民の会では、スピンオフ団体である「一般社団法人ユニバーサル人材開発研究所」とサワディー佐賀とともに、ミャンマーとスリランカのグループ設立を目指しています。将来的に、いろんな国の代表が集まり、生活情報や災害情報などを共有し合える「Saga People Network」の設立を目指しています。
◆SDGsの達成に向けて
このように地球市民の会では、これまでの経験を踏まえ、さらに外国人住民が国籍に関係なく活躍できる地域コミュニティをつくるために、様々なプロジェクトに取り組んでいきます。これらの活動はすべて、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた事業です。
最終目標:2030年までに、国籍に関係なく活躍できる地域コミュニティをつくります。
10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
① 在住外国人のコミュニティでの受け入れイベントの企画・立案
在住外国人のホームステイプログラムや異文化理解講座、外国人とのワールドカフェ、やさしい日本語講座などを企画・立案し、日本人と外国人のころこの壁を取り払う企画を提案します。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
② 災害時における外国人支援体制の強化(母語別グループ設立支援)
母語別のグループの設立支援をすることで、それぞれの文化講座などを開いて日本人と外国人住民の接点をつくるとともに、災害時において母語で災害情報を発信できる仕組みづくりを進めます。
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
③ 介護人材育成を目指した留学事業「志学生プロジェクト」のタイ人学生支援
コロナ下において、留学生であっても2週間の隔離(レジデンストラック)が必要となります。また、長期のロックダウンで経済的な打撃を受けた学生たちは、当初の生活費も準備することがままなりません。彼女たちの日本での学びを支えます。
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
これらの活動を展開することで、国籍や民族に関係なく、誰もが輝ける社会をつくっていきます。ぜひとも応援よろしくお願いします。